住宅購入は2023年の今年中が得?2024年から変わる住宅ローン減税(住宅ローン控除)制度の条件・概要まとめ
住宅ローン控除について、その概要が2022年に改正され、2024年から施行される内容がありますが皆さんはご存じでしょうか?
昨年は、日銀の黒田総裁による長期金利変動幅の修正により、固定金利・変動金利など住宅購入をする上での金利についても一時注目された記憶も新しいところ。今回は数年の間に住宅購入等を検討している方にとって、そのローン負担等を大きく左右する住宅ローン減税という制度について、見ていきたいと思います。

そもそも「住宅ローン減税」とは?
「住宅ローン控除」とも呼ばれるこの制度。実はどちらも同じ「住宅購入等においての借入金を有する場合の所得税額の特別控除制度」のことを意味しており、簡単に言うと、『中古・新築住宅購入やリフォームを行う際にローン等による金利負担を軽減するために、一定の条件を満たせば、十数年にわたり所得税や住民税が一部控除される』というものです。
減税される額は、『入居時期・住宅環境設備・所得税額』この3つで決まります。
2023年からの「住宅ローン控除」の内容まとめ
ここで一度、現行の住宅ローン減税について改めてその概要を確認しておきましょう。
2023年以降に住宅の取得や居住を開始した場合の住宅ローン減税概要
- 控除率:年末時の住宅ローン残高に対して一律0.7%の減税
- 控除期間:新築住宅と買取再販住宅…13年
認定住宅ではない「その他の住宅」・中古住宅…10年
住宅ローン控除を受けるための条件
条件1 | 10年以上の住宅ローン返済期間があること | 住宅ローンの返済期間が10年未満の場合は控除を受けることができません。 控除適用を受けている間に、繰り上げ返済等により、返済開始月から最終の返済月が10年未満になった場合は その時点から控除適用が受けられなくなります。 |
条件2 | 自身が居住していること | 投資用マンションや、土地のみの購入には利用ができず、控除を受ける方が住むことが条件となります。 しかし、転勤などで一時的にご本人が居住できない場合でも家族が住んでいる場合は控除適用が可能です。 |
条件3 | 50㎡以上の床面積があること | マンションの場合は、登記簿上の専有部分の床面積で判断され、共用部(通路や階段等)は含まれません。 |
条件4 | 居住スペースの割合が1/2以上あること | 自営業等の理由で自宅の一部を事業利用する場合に、居住スペースの床面積の割合が1/2を超えていることが条件となります。 |
条件5 | 合計所得金額が2000万円以下であること | 給与所得(給与所得控除後の金額)+不動産所得+譲渡所得+雑所得=合計所得金額 上記が2000万円以下の方のみ受けることができ、それを超えた場合、その年は控除を受けられません。 |
控除額が減る!?なくなる!?2024年から”変わる住宅ローン減税"
ではここから、来年以降変わる住宅ローン減税の具体的な内容を見ていきます。
住宅ローン減税適応にあたり、以前から地域環境に配慮したエコな住宅の場合には、控除適応となる借入限度額も多く適用されてきました。
この限度額が令和5年入居を境に大きく変わることが今回の大きな注目ポイントです。

新築の場合、最大控除額の差は○○万円!?具体的な控除額の違いは?
住宅環境性能 | 控除率 | 減税期間 | 借入限度額 | 最大控除額 |
長期優良住宅・低酸素住宅 | 0.7% | 13年 | 2022~2023年 5,000万円 2024~2025年 4,500万円 | 455万円 410万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 0.7% | 13年 | 2022~2023年 4,500万円 2024~2025年 3,500万円 | 410万円 319万円 |
省エネ基準適合住宅 | 0.7% | 13年 | 2022~2023年 4,000万円 2024~2025年 3,000万円 | 364万円 273万円 |
その他住宅 | 0.7% | 13年 (10年) | 2022~2023年 3,000万円 2024~2025年 0円 (2,000万*1) | 273万円 0円(140万*2) |
※1 令和5年12月31日までに建築確認を受けた住宅、または登記簿上の建築日付が2024年6月30日以前の住宅については、借入限度額2,000万円、控除期間10年間として住宅ローン減税が適用されます
※2 令和5年(2023年)年までに新築の建築確認がされている場合
控除額の計算方法
【例】新築マンションの場合…住居費用5000万/ローン利用額4000万円
ローン残額(借入限度額)× | 控除率 × | 減税期間 = | 最大控除額 |
約4000万円 | 0.7% | 13年間 | 364万円 |

特に注意が必要なのは省エネ基準外の「その他住宅」
新築住宅購入において、省エネ対策のされていない一般住宅、ここでいう「その他住宅」については、2024年以降住宅ローン減税自体の対象外となります。そのため、控除額も0円となり、今まで適応だった住宅ローン減税が一切使えなくなってしまうのです。
【2024年以降】「その他の住宅」の変更点
- 住宅ローン減税適用の要件:「2023年12月31日までに建築確認を受けている」か「2024年6月30日までに建築されたもの」のみ対象
- 借入限度額:3,000万円から2,000万円に引き下げ
- 控除期間:13年から10年に
上記の要件を満たせば、最大140万円の住宅ローン減税を受けることが可能になるため、現段階で新築住宅の購入を検討している方は、早めに相談を進めて置き、住宅ローン減税を有効に活用できるようにしておきましょう。
住宅環境性能について
- 長期優良住宅とは…
長期にわたり良好な状態を保てるよう、構造躯体の劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、省エネルギー性等の各基準を満たす質の高い住宅 - 低酸素住宅とは…
低炭素住宅の要件としては、改正省エネ基準から一次エネルギー消費量を10%削減および省エネ基準と同等以上の断熱性能の確保が施された住宅 - ZEH(ゼッチ)水準省エネ住宅とは…
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、年間の一次エネルギー消費量の収支が0になることを目指す住宅のことで、外壁等による家の断熱性の向上やエコ設備などを取り入れることで、再生可能エネルギーを利用し、大幅な省エネを実現した住宅 - 省エネ基準適合住宅とは…
建築物が備えるべき省エネ性能の確保のために必要な建築物の構造及び設備に関する基準を満たした住宅
住宅環境性能に関する詳しい参考記事はこちら
→住まいサーフィン「省エネ基準適合住宅や長期優良住宅って何?マンションの住宅性能について解説!」
2026年以降その先の「住宅ローン減税」は?
現状、住宅ローン減税制度の適応は2025年12月末までとなっており、それ以降の延長や内容の改正等は今後の動向は分からないの状態です。
しかし、住宅ローン減税制度は1972年に始まり、複数回に渡り制度内容を改正しながらも長期的に継続してきた控除制度です。建築業に関しては日本の基軸産業の一つであり、それを支える役目を担う住宅ローン減税制度が2026年以降完全に無くなってしまうというのは現実的には考えにくい部分もあります。
2022年の税制改正では、住宅ローンの金利負担よりも住宅ローン減税の額が上回ってしまう「利ざや」などの問題があり、徐々に控除対象の引き下げ等が行われてきていることもあり、減税額の増幅改正などが行われることは極めて低いと思われますが、それでも、住宅を持つ人々のための有効な制度としてあるべきこの制度をうまく有効活用できるよう、見通しを持ってしっかりと早めに考えていくことが大切です。