なぜ⁉いつから上がる⁉2023年~今後の大増税スケジュール一覧
物価高やデフレ、増税の波…岸田政権の財政政策に対する指摘も多く囁かれ、今後国民の負担がさらに増えていくことが懸念される日本国…。現段階でも、すでに数年先までの様々な増税案が決められていることをご存じでしょうか。
今回は、そんな今後の税負担を見通すためにも2026年まで増税案とさらにその先の税制改定について、その内容を改めて開始時期と共に確認していきましょう。

そもそも主な税金の使い道は?
国民の税金は、さまざまな目的に使われており、所得税・消費税など国に納めている税と、住民税や固定資産税などの自身の住む自治体に納める地方税に分けられます。今回は国税に要点をおいて見ていきますので以下に、令和5年度の予算歳出(税収の使用金額と内訳)、歳入(納税による税収金額と内訳)についての財務省のデータと、一般的な税金の使われ方の例を挙げています。

社会保障費用 | 国民の福祉や生活支援のために、社会保障費用に税金が充てられます。 これには年金、医療保険、介護保険、雇用保険などが含まれます。 |
教育費用 | 国民の教育に税金が使われます。これには公立学校の運営費用や教育施設の整備、奨学金制度などが含まれます。 |
公共インフラ | 道路、橋、鉄道、空港などの公共インフラの建設、維持、改修に税金が使われます。 また、水道や下水道、公園、公共施設なども含まれます。 |
安全保障 | 国防や治安維持のために税金が充てられます。 これには自衛隊や警察組織の活動費用、防衛施設の整備、災害対策などが含まれます。 |
経済支援 | 経済の活性化や産業の支援のために税金が使われます。 これには企業への補助金や助成金、研究開発支援、雇用促進策などが含まれます。 |
行政費用 | 国家の運営や行政機関の運営に税金が充てられます。 これには公務員の給与、行政施設の維持費、税務や行政サービスの運営費用などが含まれます。 |
税金の使い道は政府の予算編成や政策の方針によって変動します。国民の税金が公共の福祉や社会の発展に役立てられることが大きく期待される中、表からもわかるように今年の予算歳出では防衛費に関する費用が全体の約9%を占め、金額にして10兆円もの額が使われる見込みであることが分かります。
2026年頃までの大増税スケジュール
今後予定されている増税スケジュールは下記の通りですので、その具体的な内容と詳細について見ていきましょう。
2023年 | 4月 | 国民健康保険料の上限を2万円引き上げ 自賠責保険料引き上げ |
| 10月 | インボイス制度導入 (消費税引き上げ議論開始) |
2024年 | 4月 | たばこ税増税 法人税増税 所得税増税 復興特別所得税の期間延長 |
| 年内 | 後期高齢者医療保険の保険料上限を年 73万円に引き上げ 高齢者の介護保険の自己負担を 1割から 2割に 国民年金の加入年齢を 60歳から 65歳に引上げ決定 |
2025年 | | 結婚子育て資金の一括贈与を廃止 後期高齢者医療保険の保険料上限を年 80万円に引き上げ |
2026年以降 | | 教育資金の一括贈与の廃止 生前贈与の相続税加算期間を延長 退職金の非課税枠を縮小 厚生年金の支給減額 |
なぜ?増税の要因は防衛費の増額によるもの?
政府は2022年 12月時点で、 23年から 27年度までの5年間の間で防衛関連経費の総額を 43兆円程度とすることを閣議決定しています。これは、19年度から5年間の防衛費を意味する、中期防衛力整備計画の総額 27兆5,000億円の 1.6倍という、過去最大の増額です。
単純計算すると、これまで、国民 1人当たりの防衛費の負担額が年間約 4万円だったところ、これが 2027年には約 7万円となり、 3万円程度の負担増となる見込みです。
防衛費増額の財源確保策としては、「復興特別所得税」の延長や、「所得税」「たばこ税」「法人税」等について約 1兆円増税することで賄うとしており、 2024年から段階的に実施する方向で調整、つまりこれが今回の増税の大きな要因にもなっています。
また、10月から導入予定されているインボイス制度が、税率引き上げの布石になるのではないかという見解もあり、「品目によって税率を変える方法で今後消費税が上げやす くなる。インボイス導入をきっかけに消費増税議論が加速する」という意見も出ているそうです。
「戦争をしない国」の大幅な防衛費の予算拡充!その中身は?
上記のように、ここ数年の間に日本では防衛力強化等に向けて、防衛費予算を大幅に増やす方針を進めています。
では、その拡充した防衛費予算はどのような意図で、なぜ必要とされているのか。
その具体的な内容を見ていきたいと思います。

1974年以降の「GDP1%」からの変革を目指す?
日本の防衛費予算については、1976年の三木武夫内閣において「GDPの1%」という閣議決定をして以来、その水準をおおむね維持している状態でした。しかし、今回の岸田文雄首相はその水準を大きく上げた「GDP2%」への倍増を進めており、「歴史的な転換」を形にしようとしています。防衛費が現行の倍の11兆円規模になれば、現在世界9位の日本は、アメリカ、中国に次ぐトップ3の「軍事大国」になります。歴史的な背景をみても、「戦争をしない国」として日本国憲法第9条に誓ったはずの日本が、世界でトップ3に入る軍事予算をかけているというのは、ただでさえ増税により多くの負担が増える状況にある国民にとっては、大きな不安・不信に繋がることも容易に想像できると思います。
なぜ岸田政権は、こうした防衛費の大幅拡充を強行?
日本がこうした防衛費増額を進める背景には、ロシアのウクライナ侵攻、台湾統合への意欲を強めている中国、北朝鮮の日本近海へ向けた弾道ミサイル発射をはじめ、安全保障をめぐり厳しさを増す近年の周辺環境があるとされています。政府は、同じ日の閣議で、「国家安全保障戦略」など防衛3文書を改定しており、敵基地への攻撃など「反撃能力」を保有する方針を決定しています。「専守防衛」を掲げてきた日本は、今まで他国の領土に届くような、広域に向けて扱う攻撃的な武器の配備などを行っていませんでしたが、中国の軍事力増強などを踏まえ方針の転換を図ったようです。
具体的な軍事費使用の内訳は下記。

スタンド・オフ防衛能力(長距離ミサイル等) | 5兆円 |
統合防空ミサイル防衛能力(陸海空を合わせた防空能) | 3兆円 |
無人アセット防衛能力(自爆型ドローン等) | 1兆円 |
領域横断作戦能力(宇宙/サイバー/電磁波等の領域強化) | 8兆円 |
指揮統制・情報関連機能(情報収集/分析等) | 1兆円 |
機動展開能力・国民保護(物資保管施設の設置等) | 2兆円 |
持続性・強じん性(自衛隊施設・弾薬等備品) | 15兆円 |
消費税もいずれ15%に増税?
2022年 10月 28日、岸田政権発足後 2回目となる総合経済対策が発表されましたが、その内容は、2030年までに 消費税率を 15%に 引き上げる 必要があるというものでした。こういった内容が浮上した理由としては、今回の増税に向けた動きが加速している要因のひとつとしてもそうですが、10月26日に開催された*政府税制調査会にて「未来永劫、10%のままで日本の財政がもつとは思えない」「今後の高齢化の進展に合わせて、遅れることなく、消費税率の引き上げについて考えていく必要がある」といった声が相次いだことがきっかけとされています。 また、医療や介護で 増える社会保障費用を賄う為 であるとも言われています。
*内閣総理大臣の諮問に応じて、税制に関する基本的な事項を調査審議する内閣府の所属の機関のこと
まとめ
現時点でも、今後数年の間に多くの増税政策が敷かれていくことが分かる日本。自らの生活を守っていく上でも、今後どのような税が増えていくのか見通しを持ち、必要であれば生活の見直しや投資を交えた老後資金の確保など、本格的に考えていかなければなりません。そしてもう一つ、私たちの支払っている税金だからこそ、一体何に使われているのか?それによって日本の国としての発展はあるのか?国民の暮らしは豊かになるのか?将来の日本の姿を想像しながら、税金の使い道を把握・理解し、その有意義性を踏まえて国民一人一人が考え意見していくことが改めて大切だと思います。