最低賃金が時給1000円を超え1002円に!?2023年は過去最高の賃上げ41円で最終調整!?

ここ数十年の間、政府の後押しもあり徐々に上がりつつある日本の最低賃金の動向。2023年、ついに最低賃金平均が1000円を上回る時が来るのではないか…⁉ということで注目が集まる一方、果たして実現は可能なのか、現状とその課題について今回は見ていきたいと思います。

そもそも最低賃金とは?誰が決める?

最低賃金とは、人を雇う企業が労働者に最低限支払わなければいけない賃金のことです。これは法律で決まっているものであり、企業がこれを支払わない場合には罰金が科されることもあります。

これらの決められ方としては厚生労働省の審議会にて、経営者側の代表と労働関係に詳しい中立的な立場の有識者、そして労働者とが集まり、物価の推移や、企業の支払い能力、現状の賃上げの状況などの情報・状況等を参考に議論を行い、目安を決めます。そしてその後、各都道府県ごとに様々な地域の実情を踏まえて、各々に金額を決定していく仕組みとなっています。そのため、各県によってもその賃金には大きな格差があるのです。

賃上げについては、近年の政府の後押しや賃上げの流れを受けて、最低賃金については新型コロナ等での経済的打撃時を除いては、年々大幅な引き上げが続いています。

下記がここ10年の日本の平均最低賃金の推移と各地の現状です。

日本の最低賃金推移と地域ランキング

引用:一目でわかる最低賃金/加重平均の最低賃金の推移
都道府県名最低賃金時間差(円)
1位東京都1,072
2位神奈川県1,071
3位大阪府1,023
4位埼玉県987
5位愛知県986
6位千葉県984
7位京都府968
-全国加重平均額-961
8位兵庫県960
9位静岡県944
10位三重県933
都道府県最低賃金(円)都道府県最低賃金(円)都道府県最低賃金(円)
11位広島93023位石川89132位大分854
12位滋賀92724位新潟89033位青森853
13位北海道92025位和歌山88933位秋田853
14位栃木91326位福井88833位愛媛853
15位茨城91126位山口88833位高知853
16位岐阜91027位宮城88333位佐賀853
17位富山90828位香川87833位長崎853
17位長野90829位福島85833位熊本853
18位福岡90030位島根85733位宮崎853
19位山梨89831位徳島85533位鹿児島853
20位奈良89632位岩手85433位沖縄853
21位群馬89532位山形854
22位岡山89232位鳥取

審議会ではすでに目安が”最低賃金1002円”で決定⁉

昨年度は全国平均で時給961円を記録し、今回は時給1000円に向けての議論が進む中、先週金曜日、厚生労働省の審議会は過去最大となった昨年度を上回る41円以上の引き上げとする目安をとりまとめています。

引き上げの理由としては、

  • 物価の上昇が続く中で賃金底上げの流れを維持拡大し、非正規雇用で働く人々や中小企業に波及させること
  • 低賃金の労働者への労働条件等の改善を図ることで健全な経済の発展に寄与する

などの理由をあげています。
審議会で目安がまとめられた今、今後は各都道府県ごとの情勢に合わせた上げ幅が検討されていく形になり、そちらにも今後注目が集まるのではないかと思われます。しかし、急激な物価高などもあり、非正規雇用などで働く労働者にとっては喜びの声も上がる一方で、厳しい経営状態にある中小企業などにとっては、最低賃金が払えない場合のペナルティも発生するためこの負担が大きくのしかかるものかもしれません。

最低賃金引き上げのメリット・デメリットについてもそれぞれ見ていきましょう。

最低賃金引き上げのメリットとデメリットまとめ

最低賃金の賃上げによるメリット

  • 経済の活性化に繋がる
    最低賃金が上がることによる消費の増加、それに伴い経済の流れが促進され、景気回復や地域の活性化が期待できる
  • 所得格差の改善
    最低賃金の引き上げは、正社員と非正規労働者の所得格差を縮める効果があります。
    年功序列のような賃⾦制度が適応されない⾮正規労働者にとっては⼤きなメリットであり、仕事に対するモチベーションの高まりも期待できます。

最低賃金の賃上げによるデメリット

  • 企業の人件費負担の増幅
    まず一つに企業が負担する人件費の増加です。コロナによる経済悪化や物価高騰などにより経営の厳しさに頭を抱える企業も少なくないはず。その中でも飲食業やコンビニチェーン店など、最低賃⾦で雇⽤している⾮正規労働者が多い業界や中小企業では、⼈件費が⼤きく増加することにより、従業員数の削減や雇用時間の見直しなどが必要となる場合もあります。
  • 雇用の減少や現正規社員の給料低下
    人件費の負担に企業が耐えられず、非正規職員の雇用が不可能になる場合や従業員の削減を行った場合に、職を失う失業者が増える恐れもあります。また新規従業員の採用にコストを割くことが難しくなる場合や、非正社員への待遇改善により現正規職員への給与削減が課される場合もあるなど、企業や非正規職員だけでなく雇用に関係するすべての国民に影響のある事象ということを認識しておくべき必要があります。
  • 設備投資への抑制と削減
    人件費の増加は、その他の費用への削減に直結するのものでもあり、その一つとして設備投資の抑制があります。設備投資の抑制が長期化した場合、生産性の向上率低迷などにより、技術発展や供給能力の拡大抑制などから日本の経済・技術成長率を圧迫することも予想されます。
  • 最低賃金の地域格差
    デメリットとまでとらえずとも、問題点としてあげられるのが地域によって大きくかけ離れる賃金格差です。
    地域によって物価の違い等はありますが、この格差が開くことによって、発展都市とそうでない地域とでの社会的格差がより広くなることや、都心部への人口流出等を促しかねない点も、考えるべき点であると思います。

まとめ・賃上げはいつから?

上記のように、最低賃金の引上げには、予測されるメリットもあれば、場合によってはデメリットが存在するものであり、非正規社員や企業だけではなく、全ての労働者の賃金や労働環境にもかかわる大きな問題点を秘めたものでもあるのです。
今後、各都道府県での慎重な審議が重ねられていくことと思いますが、『例年の最低賃金引き上げのタイミングは10月』であることから、今年もその付近で実際に施行されるのではないかと思われます。

現在は、政府の方針として労働賃金や所得倍増への改善を徐々に進めようとしながらも、税負担も年々増えている状態にあります。
詳しくは「サラリーマン増税2023」「今後の大増税スケジュール一覧」の記事で紹介していますが、そういった税金に関する部分と共に、給与改善がなされなければ、税負担ばかりが増えていくことになります。
そのため、バランスや企業経営の逼迫さを十分考慮した上で議論を慎重に進めていくべき、内容であると言えます。
今後もこちらの動向を追い、詳細をお伝えしていきたいと思います。

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